電脳勇者浪漫活劇”A4” 【帰って来た後篇】
- 2014/09/28
- 18:25







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525階層
五百層を越えると地下監獄の様相は水をモチーフにしたものに変化する。薄暗く湿り気の強い回廊は至るところに水路が張り巡らされ、巨大な水棲モンスター達が息を潜めている。まるで下水道のような饐えた臭気と湿度は、一部の感知スキルを鈍らせ、炎属性を減衰する地形効果を有している。
またここからのフロアはデストラップとして【水牢】が多く設置されている。
「があっ!!」
衝撃が盾を貫通し、クレイブの身体ごと後方へと吹き飛ばした。宙で器用にバランスをとったクレイブは床に槍を突き立てて威力を殺す。槍は石畳を砕きながらもどうにか敵との距離を保つことに成功する。
「まだか!?セレン!」
「もうちょっと……、頑張って!」
「くそ、分かった!」
監獄内の通路を凄まじい速度で蛇行する、病的に白い鱗肌を持つ眼のない大蛇《無限の落とし子ラララナク》。それなりに幅のある筈の通路を半ば満たすようにその長躯をくねらせる。
シェリア=ネイレを手に、詠唱を続ける無防備なセレンへの進撃を押し留める為、クレイブが再び石畳を強く蹴って落とし子へと立ち向かう。
落とし子がその凶暴な顎を広げると、そこには直立した成人男性ほどもある牙が露わになった。
「少し、閉じてろっ!」
鼻先で天高く跳躍したクレイブが、上からタイタンランスを叩き込んで口を閉じさせる。突き込んだその場所から紫色の血液が盛大に噴出する。
「ぐっ!?」
返り血がかかる寸前、クレイブはのけぞってそれを避けた。クレイブの眼前を通り過ぎた血液が監獄の壁をジュワジュワと音を立てて溶解させる。高位の溶解毒だ。装備にかかるとダメージに加えアイテムブレイクを引き起こす。だが回避に気をとられた為か、クレイブの反応が一歩遅れた。視界の端、大樹のような胴がのたうって真横に迫っていた。
「やばっ――」
気が付いた時にはクレイブの視界はグルグルと高速で回りながら宙を舞っていた。そして上下左右も分からぬままに衝撃。
「がはぁっ!?」
凄まじい勢いで天井にほど近い壁に背中から激突しクレイブは停止。肺腑から強引に酸素が押し出され呻きに変わる。背後で砕けた壁石が崩れ、その破片を追うようにクレイブも落下して叩きつけられる。
「ぐがっ……!ぅお……やべぇな……」
身体が動かない。
それでも、幸い防御は間に合っていた。迫る落とし子の胴体との隙間に盾を差し込む事が出来た、でなければあれでHPを根こそぎ持って行かれていた。しかし貫通ダメージと壁面打撃との相乗効果はスタンを発生させるのに十分なダメージ量をクレイブに与えていた。結果、アバターが操作を受け付けなくなっている。だが
(ス、スキルは……、よし)
明らかにラララナクの挙動は鈍っていた。【ネクロバインドLv5】が発動している。怨霊の束縛がラララナクの巨大な胴体に鎖のように巻きつき動きを鈍化させている。だがそれでも厳しい。
シュロロロロ……
麻痺による身動きのとれない5秒間を、束縛による速度半減の5秒間で打ち消す事は出来ない。
倒れ伏すクレイブに、乳白色の鱗をくねらせながら落とし子がゆっくりと迫る。蛇が骨を砕いた獲物を呑みこむように、巨大な顎が開かれ、顎を伝う落とし子の血液がクレイブの鼻先でジュワジュワと床を溶かす。
「ぐおお!?」
溶ける!やばい!このままじゃロストしちゃう!!クレイブが必死に身をよじるのも虚しく、スタンによる麻痺は未だ継続している。まだ残り二秒。
(動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け……クッソォ!?)
残り1秒。
(……こ、こりゃあ、駄目、かな?)
深淵を体現したような落とし子の喉奥を前にクレイブが息を呑んだ、その瞬間。
「―――逆巻け」
シェリア=ネイレの刀身の強烈な発光がクレイブと落とし子の横顔を監獄の薄闇に浮き上がらせる。
「《雷鳴宮》!!!」
稼がれた5秒はこちらで実を生した。
セレンの魔法剣が完成。文言とともに切り上げた剣閃を追うように無限の落とし子もろとも天井へ突き刺さる五槍の白雷。雷轟に押し潰された空気が悲鳴を上げるように弾ける。
一瞬の静寂の後、芯まで炭化した無限の落とし子の頭部がクレイブの目の前で崩れ去った。
「ふぅ、どうにか……助かっ」
「おじさぁん!!」
ドッコォ!!!
「ダッハァ!!!なんか久しぶりだなコレぇ!?」
「良かったぁ生きてた平気大丈夫怪我してない?」
「してるしてるしむしろお前のタックルでHPが赤く……ぐふぅ」
「あ、ごめん!ヒールヒール!」
――――
「ハァ~、良かったァ」
大きく息を吐いて張りつめていた緊張をほぐすと、セレンはバツが悪そうに頬を掻いた。
「たはは、クレイブ、やっぱりあたしこの階層苦手」
セレンが主属性として成長させて来たのは五大属性の内の《炎》だ。特に発生が早く威力効率の優秀な《フレイムタン》などの近接魔法剣は彼女の主力と言ってもよかった。
「地形効果の威力減衰ならまだ使えるけど、モンスターが耐性持ち過ぎだよぉ」
このフロアの大半を占めるモンスター《水妖種》は雷に弱い傍ら炎に強い耐性を備えている。地形効果による減衰を加味すると炎属性の攻撃は従来の10%程度の威力しか発揮する事が出来ない。
これがセレンにとってはかなりの痛手だった。
「流石に、厳しくなってきたか」
これが通常のダンジョンであったのなら引き返して装備を整えるなり、次のエリアに移動して地形効果を解除してしまえばいいのだが、こと地下監獄に於いては階層が他に比べて類を見ない深度である為、200~300層単位の間指定された地形効果が継続されている。そしていつか前述したようにこの監獄は気軽に行き来が出来るダンジョンではない。
(調査不足だったな、くそ)
クレイブは頭を掻いて自分の準備不足を悔やんだ。だが、それも無理のない話しだ。実際にセレンからあの話しを聞かされるまでは、内心適当に苦戦して引き返そうという心づもりだったのだから。
「こんなことならアムにもう少し積んどくべきだったな……」
「クレイブ……」
「どうした?」
「ちょっと、まずいかもコレ……」
セレンの知覚スキルが周囲の動きを感知していた。
「……囲まれてる」
《無限の落とし子ラララナク》この魔王級モンスターはグラフィックをのぞけば《紐蟲》という小型のワームモンスターのステータスを大幅に強化しただけのものである。
「……何体だ?」
クレイブは中腰に身構えつつセレンをカバーアップ出来るよう周囲を警戒する。
「大きいのが……三体、四体……、ううん、不味いコレどんどん増えてる」
一般的なダンジョンではボスモンスターとして配置されている為、監獄の住人以外知る由もない事だが、《ラララナク》もまた《紐蟲》同様、死骸が周囲の同族を呼び寄せる《誘香》のモンスタースキルを備えている。
『コカカカカカカカ…………』
「近いよ、クレイ――キャア!!」
突如セレンの頭上の岩盤が破砕し、知覚に集中して反応の遅れた彼女に降りかかる。
「上か!?」
間一髪のところで盾を構えたクレイブがセレンを撥ね退けて間に割り込む。砕けた岩盤とそこから飛び出してきた大木のような白い尾が盾ごとクレイブを床石に叩き伏せる。
「ぐふぐっ!」
「クレイブ!?このオッ!」
クレイブを押さえつける尾めがけてセレンの斬撃が幾たびも舞い、厚く白い皮膚に赤い軌跡を描く。ラララナクにとって、セレンの通常攻撃など生命の危機からはほど遠いだろうが、それでも彼女の果敢な連撃は天井から下がる巨大な尾を退ける事に成功する。
「大丈夫っ!?」
セレンは「ううん!」と呻くように力を込めて、どうにか床にめりこんだクレイブを引き剥がす。ふらつく頭を振りながら、セレンの力も借りてどうにか立ち上がるクレイブ。鎧の隙間から小石がパラパラと落ちる。
「ぐ……すまん、助かった。とりあえず走るぞ!」
「うん!」
飛び出すように駆け出した二人を追うように、間もなく天蓋を砕ききった何匹ものラララナクが二人の立っていた場所を埋め尽くした。
――――
「い、行き止まり!?」
「クレイブそっちじゃないよ!こっち!」
「ぐおおお!すまん!」
ゴオォォン!!
『クココココココ!』
クレイブが踵を返して曲がり角に飛び込んだ瞬間、彼の立っていた行き止まりには数匹のラララナクの頭部が立て続けに衝突し迷宮全体を揺さぶった。さらに砕けた壁の向こうから新たな個体も合流してその数を増やす。状況はどう控え目に見ても最悪だ。敵は一体でもあわやこちらを全滅させるほどの凶悪なモンスターなのだ。
(どうする、このままじゃジリ貧だ……)
クレイブは歯噛みして思考を巡らせる。現状、ここまで敵の数が増加すると転移魔法も隠密スキルも持たない二人が逃げおおせる事は非常に困難と言う他ない。このBODに於いてモンスターのPC発見確率は個々の知覚ステータスに加えてパーティー人数ごとに二乗されてゆく。スキル効果による減算効果を加味出来ないとなれば単純に人数ごとにモンスターの追跡力は増加していく。
(……なら)
思い至った答えは一つ。囮だ。
ここでクレイブが立ち止まって敵を引き付けておけば時間を稼ぎと、セレンの発見確率の低下を同時に行う事が出来る。セレンは隠密スキルこそ持たないものの、ストライダーのステータス特徴と装備効果による高い敏捷性でこの状況を切り抜け、逃げおおせる事が出来る確率がクレイブよりも高い。
(よし)
考えを纏めたクレイブが、立ち止まろうと並走するセレンに目を向けた時だった。
「クレイブ、走って!」
それよりも早く、二束の金色の髪が迷宮内の薄光を集め弾いて弧を描いた。セレンが踵を返しラララナクの群れに飛び込んだのだ。
「なっ!?」
思い至った答えが一つなのは、セレンも同様だった。だが彼女の場合ある理由からクレイブよりも一手早く結論に至った。
「ハアアアアアアアアアアアアア!!」
走りながら詠唱を済ませたのだろう数匹のラララナクの懐で雷光が爆発しその巨大な胴を貫いて天井に白い稲妻が突き刺さる。通路を埋め尽くすような密度の為、身動きが取れなかった中心の二体がこの一撃で大きくよろめき、余波を浴びた周囲の個体も僅かに足を止めた。
「くぅっ!」
だがそれらの立ち止まった個体を押しのけて、次から次へと無傷のラララナクが巨体を壁や天井に這わせながらセレンに殺到する。セレンも機敏に躱しているが、回避に手いっぱいで魔法剣の詠唱は愚か通常攻撃さえままならないのは明白だ。そしてそれさえもすぐに終わるだろう、十秒後には押し寄せるラララナクの群れによって動き回るスペースすらなくなる。
「クレイブッ!早く!」
セレンが叫ぶ。だがクレイブの脚は縫い付けられたように動く事が出来ず、思考ばかりが空回りする。どうする?このままセレンを置いてこの窮地を脱するべきか?正解はもうそれで出ている。二人では生存率は0だと答えを出したのは彼も同様だ。ならば何故彼女の自己犠牲を無為にするような立往生を今しているのか?簡単だ。
「オラァ!!!」
ガン!!!と盛大な音を立ててセレンの背後から迫っていた牙を盾で弾き返す。
「おじさん!?馬鹿どうして!?」
「あーーーもうウルセェ!馬鹿はお前だこのバカチンめ!!!」
「何が馬鹿よ!馬鹿はおじさんじゃんか!?ここで二人ともロストしたら今日までの苦労が水の泡なんだよっ!?分かってんの!?」
毒液を吐こうと鎌首をもたげるモーション中の個体に接敵して懐からシェリア=ネイレの連撃をお見舞いするセレン。ラララナクの範囲攻撃がダメージモーションに上書きされてキャンセルされる。
「分かるもなにもこの件に関しちゃお前が当事者で俺はヘルプ、ッラァ!!!だろうが!こういう場面で残るのは本当は俺の役割だっつの!だいたいお前の方が機動力も攻撃力も高いんだから生存率高いだろう、ガァッ!!!」
ジャキン!クレイブは腰だめの姿勢からランスを全力でラララナクの鼻腔に叩き込みフェイスチャージを正面から押し止める。タイミングが非常にシビアな高等テクニックだがクレイブは事も無げにやってみせる。しかし、それも焼石に水だと言わざるを得ない。すでに状況は小手先のテクニックでどうにかなるレベルではない。
「だって私、独りじゃなにも出来ないもん!それに……」
「だもんだもんって、お前子供じゃないんだから――」
「それにっ、おじさんならなんとかしてくれると思ったんだもん!!おじさんの弩馬鹿ァ!!!」
なんだかもうこう半ば泣きじゃくるように叫ばれると、否が応にもこっちが悪い気がしてくる。というか今回に関しては一人が囮になった時点でもう一人は退却する事が最善、なのだからこの状況はクレイブに否があると言っても間違いではない。
「ああ、分かった!ごめん、すまん、すまんかった俺が悪かった!とりあえずセレン、魔法剣の準備をしてくれ」
前述した通り、テクニックでどうにかなる状況ではない以上、必要なのは現状をひっくり返すような圧倒的な破壊力だ。限りなく拙い希望ではあるが、シェリア=ネイレを持ったセレンの魔法剣には僅かにその光明が見える。
(俺が詠唱時間さえ稼げれば……)
セレンの《雷鳴宮》がラララナク一体を沈めるのに必要なヒット数は最低で3発。もっとも敵の薄い場所に現状ラララナクの頭部は三つ。範囲余波のダメージを加味して、上手くいった場合7発前後で脱出ルートを作れる可能性がある。相手が位置取りを変えず、セレンが魔法剣を全て命中させ、クレイブがことごとくパリィを成功させて初めて勝算が望める、それさえもあまりに楽観的な見積もりだが。
しかしやるしかない。
「セレン、左の敵をぶち抜いて突破するぞ」
「…………」
「セレン?」
「……ごめん無理だよ、クレイブ」
だが決意を込めたその言葉に対して、彼女は半ば絶望したような面持ちで答えた。
「なにを―――」
チャプン。
靴底に確かな違和感を感じた。周囲を見渡せば天蓋の割れ目や通路の隙間から石畳をゴトゴトと押し上げて水が湧き出している。水が、通路に満ち始めていた。
「……こりゃ、なんてこった」
状況を察してクレイブの脳裏にも抗う余地のない絶望が去来する。あまりの事に思わず口からは笑みが零れるほどだ。
デストラップ【水牢】。遺跡系ダンジョンに稀に登場するこのトラップは起動するとそのエリア全体を徐々に水中状態に変化させる。これによって水中呼吸の特殊スキルを持たないキャラクターに対してフロア全体に死亡確実の時間制限を設ける他、徐々に増加する水は移動速度を低下させ、炎属性を減衰、加えて雷属性の伝達力を爆発的に加速させる。
「今、魔法剣を使ったらモンスターより先に私達のHPが0になっちゃう……」
恐らく、逃げ回る間にラララナクのいずれかが水牢を起動させたのだろう。「どうしよう」と、縋る様な視線を向けるセレンだが、クレイブにしてみてもこの状況は完全に詰みだ。
「万事休すか……!」
歯噛みしたその時だった。
「CODE=XA4C#%『Fire´´´』執行」ザザザ―――!
ノイズ混じりの耳慣れない詠唱と共に空気が破砕した。
音と景色を吹き飛ばす轟音と爆風。
「なっ!?」
「キャアッ!」
帯電する大気、急激な乾燥が肌から潤いを奪いガサつく、焦げた匂い。目を焼くような閃光から景色が還ったとき、辺り一面はまるで燃える雪が降り注ぐように仄かに燻ぶりを残す白い灰が舞い踊っていた。
この灰は何なのか?その答えはすぐに映し出された。二人の周囲を囲っていたラララナクおよそ10体あまり、その全てが白色の炎によって首から上を綺麗に爆散させていた。頭部を吹き飛ばした炎はあたかも満開の桜のようにゆらめき、幹の如き蛇の胴が主人を失って尚のたうち、その都度水面に灰花を散らす。
気味の悪い夢のような、奇妙な桜並木。その景観にセレンは思わずへたりこんだ。
詠唱があったという事はこれは魔法なのだ。だが、セレンは愚かクレイブでさえもBOD内でこんな魔法を観たことがない。それはつまり。
(―――違法改造魔法か!)
チャプン。
「ぃやっぱりだ、何だか妙な動きをしてるニワカがいると思ったら」
背後から水面に足をつけて歩み寄る音と、どうにも暢気な男の声が聞こえた。二人は反射的にそちらを見やった。
「ネームバーが青いって事は、君らカジュアルじゃん」
《カジュアル》ネットゲーム内でのライトゲーマーを指すスラングであり、この監獄迷宮においては不正使用やデータ改竄を行っていない一般PLを指す用語でもある。
妖精のミイラを縛り付けた魔杖を打ち鳴らし現れたのは長身痩躯の男だった。フードつきの細身の黒い皮鎧、その表面には包む部位をなぞるようにボーンパターンがあしらわれている。狐を思わせる糸目、何がそんなに楽しいのか口元はさも愉快そうに釣り上がっている。
「ここで何してんのん?」
違法改造を示す赤いネームバー。Hate。そのチートプレイヤーは腰を屈めて呆けたセレンを覗きこんだ。
「ここで何匹倒してもEXPは入んないしドロップもないし基本カジュアルに旨みないっしょ?腕試し?それとも罰ゲーかなんか?それかなんか彼氏さんと電脳無理心中でもしてんのん?ん?」
「え、ええと、あのっ」
存外にフランクに質問を浴びせまくるチートプレイヤーに目を白黒させて困惑するセレン。長い耳が困ったように少し垂れる。
青年はセレンのその様子を顎を掻きながら不思議そうに眺めた。
「ん、あれ?その感じ……もしかして女の子なん?」
「あ、はい。そうです」
「ブヒャハ!ウッソ!マァジかよ!?監獄で女プレイヤ見んの超久々!ていうかこのゲームって男根専用コンシューマじゃなかったんだなそういや!」
「だ、だんこ?うぇ、え?」
「あ、やべ。カワイ。エルフちゃん今のもっかい言ってくんね?」
「???ええと、あの、その」
「ワンスモァプリィィィィズ!!」
「ふええっ」
「……」
流石にこれ以上実の姪が電脳セクハラを受けるのを眺めているのは色々な面で沽券に関わりそうなのでクレイブが間を割って助け舟を出した。
「助かった、礼を言わせてくれ」
「あ?ああ」
それを受けて骸骨フードの青年はクレイブに目を向けた。表情こそ先ほどと変わらない薄ら笑いだが、その奥の無関心は明らかだった。青年はすぐに目線を困惑するセレンに戻してそのまま言葉を続けた。
「別に助けた訳じゃないんだけど……、つかやっぱそっちはチンコかよ。まぁ空気読めずに立ち上がる厨房オチンポ気質は分かったけど、今お前の彼女と……んん?」
そして言い終わらないうちにクレイブを二度見したかと思うと、勢いよく立ち上がって今度は穴が開くほどクレイブを凝視した。
「な、なんだ?」
「オマエ、……まさかクレイブか?」
【立ち上がれ後篇】に続く。(小刻みに震えながらピルケースに入ったふりかけを白米にかけ始める)

↑やだの描いたラフのヘイト。

↑参謀のAさんがクリンナップしてくれたヘイト。
なんかもう綺麗になり過ぎて意味がわからなかった。しゅごい!!!!!!!
「どうです?」
「これが……あたし?」
「綺麗…(うっとり)」
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- テーマ:自作小説(ファンタジー)
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:お題小説
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